最近の入線車輌はコレだけではないのですが、とりあえず旧客好きとしては触れておきたいのでまずはこのセットの入線報告を致します(笑)
KATOさんの急行「八甲田」基本セットと増結セットです。
EF57の1号機も合わせて(とは言いつつも発売日が微妙にズレこみましたが)入線しておりますが、それはまた別の機会に・・・
やはりセットの中の注目車輌はこれ、「ワサフ8000」でしょうか。
往年の荷物列車を再現しようとすると、必ず立ちふさがってくる「壁」のひとつがこの「ワサフ8000」なのですが、セットのひとつとは言えようやくKATOさんが製品化したんですねぇ・・・
なぜ「壁」なのかと言うと、この車輌と「スニ41(これも少し前からKATOさんの客車セットで製品化されてます)」の2形式は、荷物列車によく組み込まれていたものなのですが、一部のメーカーさんのキットを組むか、自作をするしか入手の方法が無かったからなのです。
上のふたつの写真では2輌写っていますが、それぞれ上の車両が今回の「八甲田」セットのもの、下の車両はワールド工芸さんが以前発売したキットの完成品(完成品として販売していたもの)です。
(ワールド工芸さんのワサフはこの製品の後に、各部を細密化した「ワサフ8000II」と言う製品が発売されています。)
ちなみに雰囲気の似ている「スニ41」と「ワサフ8000」ですが、「スニ41」は形式上では客車、「ワサフ8000」は貨車に分類されているという違いがあります。
どちらもパレット輸送用に用意された車輌ですが、ここで言う「パレット」と言うのは、現在一般に言う標準的なパレット(フォークリフトで持ち上げて運ぶアレ)とは少し違っていて、どちらかと言うと、スーパーマーケットなどの搬入口にある「カゴ車」と言われるカゴ状の台車の様な形状をしていました。
幅も普通に言うパレットよりも小さかった様です。
実は何年か前にキットも2種類購入してあるんですが、いまだ未着手のままです。
左はワールド工芸さんの「ワサフ8000II」(細密化リニューアルの製品)、右は今は亡きキングスホビーさんの製品です。
さて、今回のセットでは実は個人的にはこちらにも大注目しておりました。
郵政省所有の郵便車「オユ10」です(笑)
いやなぜ「(笑)」なのかって、ウチの過去記事を読んだことのある方にはおわかりかと思いますが、ここ何年もずっとGMさんのオユ10キットを作り続けているからですヨ(^^;
まあだから注目していたと言うワケではなくて、実は今回のKATOさんのオユ10はちょっと特殊な番台をプロトタイプにしている・・・と言うことで大注目していたワケなのです。
オユ10は製造を進めて行く途中で様々な仕様変更や改造が行われたので、その車番(番台)は多岐にわたりとても複雑なのですが、今回製品化された2500番台は「北海道仕様」として製造されたものです。
特にこの2512号車は、途中から改造を受けて北海道仕様に変更されたものではなく、最初から北海道用として製造されたグループに属します。
このグループは全部で14輌ありました(2501~2514)。
「北海道仕様」とは、乗務員室の窓を二重化したり、蒸気暖房管を増設したり、主に「暖房」のための装備を充実させたものでしたが、特筆すべきは「温気暖房器」と呼ばれるものを装備していたことです。
(そのメーカーの名称から「ウェバスト式暖房器」とも呼ばれていました)
蒸気暖房や電気暖房は機関車から供給される(一部は暖房車など、それ以外からの供給もあります)スチームや電気によって客車内を温めるものですが、この温気暖房器はそれぞれが独立して設置された燃料タンクから燃料(軽油)を供給して燃焼させ、取り込んだ室内の空気を温めて再び室内に戻すというものでした。
行ってみれば車輌ごとに石油ファンヒーターのようなものと、そのための燃料タンクをぶら下げていたということですね。
形式写真などでその姿を確認することができるのですが、どの写真でも詳細な形状が判別できず、自分的には結構謎な機器だったわけです。
そこで今回の2500番台の製品化。
期待しないわけにはいかないですね。
ところが・・・
温気暖房器があるはずの部分のアップです。
・・・何もありません(泣)
本当ならこの丸で示した部分にあるはずなんですがね・・・
まあ資料も少なそうですし、仕方がないのかな。
詳細な資料をお持ちの方は自作してみると良いかもしれませんね。
ちなみにタヴァサ・ホビーハウスさんから「気動車用温気暖房器(PM607)」と言うパーツが販売されているのですが、こちらは機器からのびるダクトの形状が若干異なる様です。
そこまで細かく拘らないのであればこのパーツで代用することも可能ですが、パーツには含まれない燃料タンクもなんとか揃えたいのがマニアと言うものですよね。
ところで北海道仕様のオユ10が、なぜこんな機器をぶら下げていたのかと言いますと・・・
当時の北海道で運用されていた客車列車には、貨車もごく普通に編成に組み込まれていたと言うことに起因するそうです。
【機関車】+【客車】+【貨車】
と言う順で連結されていれば問題ありませんが、
【機関車】+【貨車】+【客車】
の順で連結されてしまうと、機関車から供給されるはずのスチームも電気も貨車に阻まれて客車まで届きません。
そんな場合を想定した装備だった様です。
2500番台には、元々装備されている蒸気暖房管(ただし通常の本数よりも多く装備)のほかに、2000番台以降に装備されている電暖設備、そして北海道仕様特有の温気暖房器・・・と、3段構えの暖房設備を備えていたと言うところが面白いですね。
機関車からの供給源がスチームから電気へと移り変わっていく過渡期であったことと、北海道特有の客車列車の編成がこんな備えを必要としたわけですね。
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